私たちについて
概要
かつて豊かだった瀬戸内海は、経済の高度成長とともに水質汚濁が進み、「瀕死の海」と呼ばれるほどの危機に直面しました。そんな瀬戸内海の水質改善をはじめとする環境の保全を推進するため、兵庫・広島・香川の3県の知事の提唱により、1971年7月14日、神戸市において、瀬戸内海に関係する11府県知事・3政令指定市長が集い、瀬戸内海環境保全知事・市長会議を開催しました。
この会議において、瀬戸内海に住み、働く人々の精神的なよりどころと汚染防止の指針として「瀬戸内海環境保全憲章」を採択するとともに、「瀬戸内海環境保全知事・市長会議」を組織化し、憲章の精神に則って瀬戸内海の環境保全に努力していくことを宣誓しました。
1973年に現在の瀬戸内海環境保全特別措置法が制定されて以来、法整備や行政の取組みが進み、瀬戸内海は以前の美しさを取り戻しつつあります。私たちは、瀬戸内海を豊かで美しい里海として再生し、その環境を守りながら、未来へ繋いでいくことを目指し、活動を続けています。
シンボルマーク
瀬戸内海環境保全知事・市長会議が初めて開催された翌年、瀬戸内海の環境保全意識の高揚を図るため、公募によりシンボルマークを決定しました。

役員・組織
役員
- 議長
- 兵庫県知事 齋藤 元彦
- 副議長
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広島県知事 湯﨑 英彦
愛媛県知事 中村 時広
大分県知事 佐藤 樹一郎
神戸市長 久元 喜造
- 監事
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大阪府知事 吉村 洋文
山口県知事 村岡 嗣政
組織

年表
「瀬戸内海環境保全知事・市長会議」設立
瀬戸内海環境保全臨時措置法(通称:瀬戸法)制定
瀬戸法改正に関する意見書を国会議員・関係省庁へ提出
瀬戸法改正、名称が「瀬戸内海環境保全特別措置法」に瀬戸内海環境保全推進大会を開催
各府県において瀬戸内海の環境の保全に関する府県計画を策定
瀬戸法制定10周年記念式典を開催
瀬戸法制定20周年記念式典を開催
「瀬戸内海景観宣言」を採択
本州四国連絡橋尾道・今治ルート開通を記念して
「瀬戸内海環境シンポジウム」を開催
21世紀の瀬戸内海を展望するため「瀬戸内海環境シンポジウム」を開催
「瀬戸内海21世紀宣言」を採択
瀬戸法制定30周年記念式典を開催
瀬戸内海再生方策及び新たな法整備について検討するため
「瀬戸内海再生フォーラム」を開催
「めざせ100万人!瀬戸内海再生大署名活動」を実施
(署名数:1,416,618筆)
「瀬戸内海を豊かで美しい里海として再生するための法整備の考え方」を作成
瀬戸法制定40周年記念式典を開催
「瀬戸内海里海宣言」を採択
「瀬戸法改正記念のつどい」「瀬戸法改正記念シンポジウム」を開催
瀬戸法制定50周年記念式典を開催
憲章・宣言
- 瀬戸内海環境保全憲章
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“瀬戸内”は、われわれが祖先から継承した尊い風土である。かって、この海は紺青に澄み、無数の島影を映して、秀麗多彩な景観を世界に誇った。また、ここには、海の幸と白砂の浜、そして緑濃い里にはぐくまれた豊かな人間の営みがあった。
しかし、世代は移り変って、今や瀬戸内は産業開発の要衝となり、その面影は次第に薄れ、われわれの生活環境は著しく悪化しつつある。 輝かしい21世紀の創造をめざし、人間復活の社会実現を強く希求するわれわれは、この瀬戸内の現実を直視し、天与の美しく、清らかな自然を守り育てることが、われわれの共通の責務であることを自覚し、地域の整備、開発その他、内海利用にあたっては、環境破壊を強く戒め、生物社会の循環メカニズムの復活を図る必要性を痛感する。
ここに、われわれは、謙虚な反省と確固たる決意をもって、瀬戸内を新しい創造の生活ゾーンとすることを目指し、相互協力を積極的に推進することを確認し、総力を挙げてその実現に邁進することを誓うものである。
1971(昭和46)年7月14日
瀬戸内海環境保全知事・市長会議
- 瀬戸内海景観宣言
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次世代への景観の継承
瀬戸内海の景観は、恵まれた自然を基礎として、その長い歴史を通じて、先人たちが生活の中で培ってきたものである。
われわれは、この美しい母なる海の回廊を、世界に誇るわが国の貴重な景観資産として永久に継承していかねばならない。
瀬戸内海の景観の保全と創造
瀬戸内海の景観は、地域の多様ないきものを含む自然の生態系と人間の営みの相互関係から形づくられてきた。
瀬戸内海は、多くの住民の生活や事業者の生産を支える空間であり、その景観は、今後も地域の人間活動の影響を反映し変貌を続けると考えられる。
われわれは、人と自然の織りなす瀬戸内海特有のすぐれた景観を保全するために不断の努力を払う必要がある。
また、社会は常に進展するものであり、この展開に対応した新しい景観を創造し、すぐれた瀬戸内海の環境文化の形成に向けて英知を結集しなければならない。
地域個性の尊重
瀬戸内海の景観は、自然的な土地利用と都市的な土地利用を反映した様々な地域景観が集まって形成されている。
したがって、その保全や創造にあたっては、それぞれの地域の社会と自然の特徴や個性を尊重しなければならない。
住民の取り組み
この地域に暮らし、事業活動を行うすべての住民と事業者には、地域の環境資産としての景観の重要性を認識し、先人の残したすぐれた景観の継承と新しい時代の景観の創造に向けた積極的な行動が期待される。
自治体の協力
瀬戸内海の景観の特徴は、まとまりのある一つの内海景観として存在していることにある。
その保全と創造には、それぞれの地域の特徴や個性を考慮しつつ、国や関係府県市が共通の認識と展望のもとに、相互協力を積極的に推進することが必要である。
ここに、われわれは、ゆとりとうるおいを重視する時代の要請に応え、後世に誇れる資産を形成するため、瀬戸内海の健全な景観づくりに総力を結集し、持続的に取り組んでいくことを誓い合うものである。
1996(平成8)年12月17日
瀬戸内海環境保全知事・市長会議
- 瀬戸内海21世紀宣言
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瀬戸内海は、世界に類い希な多島海美を世界に誇ると同時に、農林水産業、工鉱業、交通、レクリエーションの場として3000万人の人々の暮らしを支えている。そして、人々と自然の長い関わりの中で香り高い独自の芸術文化を生み出してきた。
20世紀後半、瀬戸内海沿岸域は、大規模な工業開発により、わが国の経済発展に大きく寄与してきた。しかし、このような開発は瀬戸内海に深刻な環境汚染を引き起こした。かけがえのない瀬戸内海の環境を保全するため、我々は昭和46年、瀬戸内海環境保全知事・市長会議を組織して「瀬戸内海環境保全憲章」を採択し、さらに「瀬戸内海環境保全特別措置法」をはじめ、多くの環境保全施策により汚染の進行を食い止めるべく努力してきた。このような取り組みは一定の成果をあげたものの瀬戸内海にはなお多くの解決すべき課題が残されている。
21世紀、瀬戸内海と我々の関わりも新しい段階を迎えようとしている。瀬戸内海沿岸で暮らす住民の願いは、本来の瀬戸内海の姿を取り戻すことであろう。そのためには、多くの資源を使い、大量に廃棄してきた、これまでの生産・生活様式を見直すとともに、瀬戸内海で培われてきた健全な自然の営みを大切にして、その環境の維持と回復に努めることが我々の責務である。
いまこそ瀬戸内海の価値と環境の有限性を再認識し、瀬戸内における人と自然の共生を可能とするために、生態系の保全・回復と緑豊かな空間の創出など沿岸域における失われた良好な環境の回復・創造を図るべきである。このような瀬戸内海における努力は、持続可能な経済社会システムの実現に向けた先駆的な取り組みとなるであろう。
瀬戸内海環境保全知事・市長会議は循環、共生、参加、連携、国際協力の理念のもと、英知を結集して21世紀の瀬戸内海の文化と環境の創生に邁進することを改めて宣言する。
2001(平成13)年7月30日
瀬戸内海環境保全知事・市長会議
- 瀬戸内海里海宣言
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瀬戸内海は、古くから比類のない美しさを持つ景勝地として、また、漁業資源の宝庫として知られてきたが、戦後の高度経済成長期に水質汚濁が急速に進み、「瀕死の海」といわれる状況となった。このため、瀬戸内海環境保全知事・市長会議は、瀬戸内海環境保全特別措置法の制定を時の政府に働きかけるなど、常に先駆的な取組を進めてきた。
そして、様々な環境保全施策が成果をあげ、瀬戸内海の水質は大きく改善されてきたが、赤潮の発生、栄養塩の減少や藻場・干潟の減少、そして美しい海、生物資源にとって重要な、円滑な物質循環と生物多様性、生物生産性が損なわれている等の、解決すべき大きな問題も残っている。
このような状況から、瀬戸内海環境保全知事・市長会議では、瀬戸内海を「里海」、即ち「適切に人の手が加えられ続けることにより高レベルの生物多様性と生物生産性が維持された豊かで美しい海」として再生するため、新たな方策の検討を行うとともに、法整備を求める活動を行ってきた。
今こそ、我々は、瀬戸内海を、世界の範となる「里海」として再生しなければならない。瀬戸内海環境保全特別措置法制定40年を迎えるにあたり、瀬戸内海環境保全知事・市長会議は、決意を新たにし、豊かで美しい瀬戸内海を次世代に継承するため、瀬戸内海の里海として再生に、不断に取り組むことを宣言する。
2013(平成25)年9月7日
瀬戸内海環境保全知事・市長会議